思い込んだら命がけ、とことんやる

最近の朝日新聞は、政治経済面での時代感覚のずれとか、報道姿勢のいいかげんさとか、厳しく批判されています。一方で地味ながら文化面は他紙よりも面白い原稿が載っています。

8月の始め頃に掲載された、''夏フェス05フジロック''の記事を書いている、近藤康太郎の 『・・・脇の小さなステージで関西のガレージパンクバンド、ワッツーシ ゾンビがやっていたので驚いた。客は30人ほど。・・・数万人を集めるバンドの横で、無名バンドが、ちゃっかり演奏している。そこがいい。ニルヴァーナだって長らく小さなライブハウスで、ワッツーシのように壊れた演奏を続け、客の発見を待っていたのだから。』

その数日後に、''アルクーパー30年ぶりソロアルバム''というインタビュー記事で『30年もなぜアルバムを出さなかったか?もう誰も買ってくれなくなったからだよ。年寄りが音楽業界で生き残るのは、難しいんだ。』という発言を引き出しています。

どちらも なかなかいいでしょう?


話はとんで、10月11日付夕刊で''美の一代記・実業家ミュージアム3・足立美術館''という続物の一つが載っています。
既に亡くなった母と、数年前にこの''足立美術館''を訪れたことを思い出しました。

島根県安来市にあります。最寄の安来駅から、20分(?)ぐらいの田んぼの真ん中にあるのですが、年間44万人も人を集めているんです。横山大観の作品を中心とした美術館で、その作品の数の多さにびっくりしたことを覚えています。

失礼ながら、地方のこんな田んぼの真ん中の美術館が、集められる作品とは思えない水準の高さです。

記事の中で、創立者の足立全康さんの後継者の現館長が『(創立者は)思い込んだら命がけ、とことんやらなければ気がすまない人だった。いい絵が出れば、お金が無くても買う。回りが金策に駆けずり回る。その連続。』と語っている。
美術館の庭もまことに見事です。

''思い込んだら命がけ、とことんやる''という気迫は、音楽でも美術でも同じで、その気迫に 人は吸い寄せられるのですね・・・。