クリエーター大国 その5
昨日から続きます。
今日は 着メロの、デファクトスタンダード技術をもつ会社を創ったフェイスの平澤さんと、インターネット、モバイルの技術開発会社アクセスの荒川さんの考えを転載します。
○平澤委員 マルチユースに関してですけれども、前回、私がお話ししたときに音楽パッケージの周辺の話をしたんですけれども、1996年、6,800 億円あったマーケットというのが、昨年度(2004年)は3,800 億円、約半数近くにCDパッケージというのが激減していたんです。それに対して、JASRAC収入というのが逆に同年度で900 億円から1,100 億円に伸びている。その明細を見てみると、CDパッケージ等に関わる純増部分というのがあるんですが、明らかに新たなマーケットが生まれているんです。これがいわゆるマルチユース、すなわち着メロ、着うたマーケットなんです。
このマルチユースという見方というのもあるんですけれども、ちょっと見方を変えると、マルチプラットホームになっているということだと思うんです。だから、今のいろんな議論の中で著作権処理云々というのが勿論あるんですが、マルチユース、すなわちマルチプラットホームになったときに仕組みが変わったにもかかわらず、クリエーターに対してどうやって適正な配分をしていくのかというルールを決めないと、既存の形で配分するような方法では全部クリアーできないのではないかというのが少しあるのかなというふうに私は思っています。
○荒川委員 私も、平澤委員と同じ意見を持っているんですけれども、更に、私もあるレコード会社の社外役員をやらさせていただいているので、パッケージメディアは音楽に関して言えば、やはりだんだんと減ってきていて、別にマルチユースをしなくても恐らく減ったのではないだろうかというふうに思う。それに対して、プラットホームを多様化していくことによって減りを抑えている、またはそれの転換点を迎えていて、逆に増えつつあるような状況下に変わってきているのではないかというように思える。これはいろんな立場があると思うので、私はそんなふうに思います。
でこれに関連して デジタルコンテンツ・ワーキンググループの第一回の議事録を見てみると、更にこの件に関して 荒川さんが 問題点を整理してくれているので これも参考になりますから 今日取り上げます。
○荒川委員 (略)、基本的に私の意見というのは、これまでのパッケージメディアを中心にしていたときの著作権管理のやり方、または利益配分の仕方というものをネットワーク化の時代におけるコンテンツ配信においての著作権管理及び利益配分のやり方ということが、変わってくるのではないかということがございます。
それは、なぜかといいますと、パッケージメディアの場合、基本的にはコピーをさせるか、させないかという二者択一しかほとんどの場合なかったと。ですから、CDにコピープロテクトをかけるのか、かけないのかという議論じゃないと、流通をコントロール方法がなかったと。特にデジタル化されたものというのは、コピーができてしまえば、ほとんど劣化がなく、流通ができてしまうということがあるので、CDショップでレンタルCDを借りてきて、例えばMDに落とすというようなことをされてしまった場合、全く補償の仕方がなかったと、または何回コピーされたかということがわからなかったと。
でも、ネットワークの時代でうまい著作権管理の仕方を考えれば、何回またはどういう履歴でコピーされたかと、誰から誰に渡っているのかというようなことも管理することができるようになるだろうと。
実際に技術的に可能なことは、皆さんもよく御存じだと思いますけれども、技術的な安全性については、議論も必要になるとは思いますけれども、要はコピーさせるか、させないかではなくて、コピーをしたときに、どういう履歴が残るか、またはそれをどう認証して課金させるかということを考えていくと、たくさんコピーしてくださいと。その代わりそれについては認証も必要になるし、課金もされますよと。小額課金で結構ですと、どんどん課金もされますよというような時代になったときに、果たしてユーザーさんがそれでもいわゆる海賊版のようなものをどんどん使うようになるのだろうかということを考えると、今の着メロ、着うた、その他小額課金でコンテンツが買えるというような文化が定着してきた状況を考えますと、必ずしもそうはならないのではないかと。たくさんコピーしてもらったら、実は制作者が非常に儲かるというような仕組みなり、また著作権管理も楽になるということは、今までのようなパッケージメディアを対象にして著作権管理をしなければいけなかった団体の存在そのものが少し変わってきて、もうクリエーターが直接または非常にそこに近いところが直接コンテンツ管理ができるようになってくるのではないかと。
勿論、これは個人情報管理もきちんとできないと、認証や履歴がわかってしまうということが、非常に問題にはなりますが、恐らくそこを隠蔽しながら追跡する手段というのはあるはずであると
(続く)