学問のすすめ

小林秀雄の「考えるヒント」のなかに「福沢諭吉」を論じている項目があり、それに導かれて福沢諭吉著「学問のすすめ」を読み始めました。
福沢諭吉について、これまで私の知っていることと言えば、一万円札に印刷されている人。 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名な一文を発表した人。 慶應義塾大学の創設者。 「学問のすすめ」「西洋事情」といった本を明治維新前後に多数書いた啓蒙家。 といったきわめて断片的な事項にしかすぎません。 中学高校の日本史の授業でとりあえず暗記した項目です。(笑)

ですから、「学問のすすめ」という本にどんなことが記述されているかなどということに、いままで興味を持ったこともなかったのです。
で、岩波文庫から出版されていることを知り、購入しました。
まず、表題の「合本学問之勧序」でつまずきました。 まあ、それをそのままにして本文に入りました。

本編は余が読書の余暇随時に記すところにして、明治五年二月第一編を初として、同九年十一月第十七編をもって終わり、発兌の全数、今日に至るまで凡そ七十万冊にして、そのうち初編は二十万冊に下らず。これに加うるに、前年は版権の法厳ならずして偽版の流行盛んなりしことなれば、その数もまた十数万なるべし。仮に初編の真偽版本を合して二十二万冊とすれば、これを日本の人口三千五百万に比例して、国民百六十名のうち一名は必ずこの初を読みたる者なり。

ここまで読んで「合本学問之勧序」という表題を「がっぽん・学問のすすめ・じょ」と読むことがわかりました。(笑)
この本は初編から第17編まで 小冊子として順次発売し、それを明治13年7月30日に合本し、1冊にまとめたのだと知りました。
更に当時の日本の人口は3,500万人だったことや著作権のことすなわち「版権の法 厳ならずして偽版の流行盛んなりしことなれば・・・・」とあるように その頃は海賊版が横行していたこともわかり、とはいっても著者の福沢諭吉海賊版に対し、それ程気にしている様子もなく、本物と海賊版を合計すると初編は22万冊も市中に出回って国民160名のうち1名はこの本を読んでいるとおおいに誇らしげに書いています。(笑)(続く)