レコード史12

30cmLPが1953年に発明されました。当初は、既に発表済みのシングル曲を1枚のLPに「バサッ」と集めるという レコードが主流でしたが、そのうちに片面のも収録時間が20分強あることを利用して、A面・B面の両面(収録時間約45分)を計画的に新録音で構成する「コンセプト・アルバム」が考え出されました。「コンセプト・アルバム」はもちろんA面・B面と別れていることは十二分に考慮されていました。
映画でも、小説でも、TVゲームでも ある長さを必要とする作品には必ず「起・承・転・結」といった構成があります。その構成をとおして作者の意図を察知して、私たちは感動を覚えるわけです。コンサートも普通は冒頭2,3曲は激しい曲で盛り上げてMCをいれ、更に2,3曲激しく盛り上げた後、しっとりと「バラード」を聴かせた後、終盤に突入するといったスタイルが普通です。(笑)
こいうった構成というのは必ず人間は考えつくものなのですが、30cmLPがCDに移行するときに、世界中のミュージシャンが全く考慮しなかったのは不思議なことです。

30cmLPがCD に移行するのにはかなりの時間を要しました。当然のことですが、当初 ミュージシャンはCDでの発売を考えもせずに、30cmLPの構成、つまり、A面とB面のそれぞれの構成とトータル約45分のリスナーに与えるインパクトのみを考えてレコーディングをしていましたから、30cmLPとCDの両方を同時に発売となると構成がA面、B面を前提としている30cmLPを購入したリスナーはよいのですが CDを購入したリスナーにとってはその構想はいささか違和感があります。

昨日書いたのですが、30cmLPの場合A面が終わってB面をつづけて聞こうとしても一連の作業をしなければならず、でもその短い時間の間に聴いたA面のことをいろいろ考えながら「さて、B面はどんな曲なのだろう?」と期待するわけです。30cmLPのA・B面構成というのは思っていたよりも効用がありました。A面を終えてB面に行こうする時間は、音楽鑑賞に必要不可欠な「間」だったのではないでしょうか。