子供の教養

私の子供の時代を思い返してみると、本当に狭い範囲で遊びまわっていたのだなあ!とビックリします。 家から北に約1kmのところに幼稚園と小学校があって、私はそこに通っていました。 正門が南向きですから、北に裏門があるわけで その裏門を出たことがありませんから、私の行動の北限はその裏門でした。 西は500先に自転車屋があって、そこは 30分5円・1時間10円で自転車を貸してくれたので、よく借りにいったのですが、その自転車に乗って自転車屋よりちょっと先に後楽園があったのに、そこまで行った記憶がありません。自転車に乗って真直ぐに家に向かって 家の周りを ただただ ぐるぐる回っていたのだと思います。 なぜかそれで十分に楽しかったのです。(笑)
私が特別に臆病だったというわけでもなく、当時の子供の行動範囲はそんなものだったのです。
子供の知識経験はそんな範囲でしか得ることができませんから、まあたいしたもんじゃありません。
小学校も5年6年になれば 行動範囲は もう少し拡がりますが、それでも 盛り場(さかりば)(こんな言葉は死語ですか?繁華街のこと)をうろつくなんて考えられなくて、盛り場に行くようになるのは 高校生になってからでした。
そんなわけですから、大人の経験・知識・情報は 圧倒的に子供より大きく かつ多かったので、子供達は大人を尊敬し、早く自分も大人になりたい と思っていました。
1959年、この年 皇太子、美智子妃の結婚パレードの生中継をきっかけに TV受像機は日本の家庭に普及しました。 この年は 団塊の世代(昭和22年、1947年生まれ)の先頭が12才になった年です。
TVが家庭に入ったことで、家のなかの大人の地位は 大きく揺らいでしまいました。 大人が独占していた 経験・知識・情報のなかで、経験はともかくとして 知識・情報は子供でも得られるようになってしまったのです。 大人にとって都合の悪いことに、TV番組は面白くて、子供がTVの前を離れずに 長時間視聴し続けてしまいます。 その結果、子供の知識・情報レベルが 「アッ」という間に大人と同じになってしまいました。
大人は昔のこと・古いことを知っていますが、最新の知識情報は TVを長時間視聴している子供達の方が多くなってしまったという 逆転現象がおこってしまったのです。(続く)