双方向のコミュニケーションが幸せの第一歩

『商店街話し』 が続きました。

私の今住んでいる町の近くが四谷見附です。

ここから四谷3丁目に向かう新宿通りは昔は幅が狭くて幹線道路でありながら、商店街の趣がありました。

新宿副都心ができて、都心と結ぶ為にこの道は拡幅されて今のようになり、左右に分断され商店街は見事に消えてしまいました。

この道だけはなく、全国のあらゆる場所で同じような理由から、商店街が消えています。


片側だけになってしまった道路には、地元のお店のかわりに、全国展開しているチェーン店が開業します。


私の会社の最寄の駅、中目黒の山手通り沿いも同じ風景です。

もう一つ最寄の JR 恵比寿駅の周囲も同じです。


全国チェーンのお店に入って、券売機で食券を買うときいつも思うのですが、 『オーナーが居ないんだよな』 と思います。

オーナーが居ないから売上管理は券売機に任せているのだとわかります。

カウンターに座って1人で黙って食べていると、自分と隣に座っている人達皆が、餌をせっせとついばんでいるブロイラーと同じだなと思えて少し悲しくなります。 (笑)


四谷見附から四谷三丁目に向かう新宿通りの中程を左に入ると文化放送があります。

その文化放送の前に 温州軒 というとても美味しい中華食堂がありました。

支那ソバという感じのラーメンと餃子とチャーハンが最高でした。

お店の主人夫婦はいつも愛想がなくて、つまらなそうに注文をこなしていました。


でも長年のお客に対しての、ちょっとした仕種とか、顔の表情のわずかな変化で 自分がお客として認識されていることを知って安心できます。

この店で1人で食べていても、たったそれだけのことで 私はブロイラーではないと思えて、幸せを感じることができました。

その 温州軒 が昨年突然閉店してしまいました。

店を閉めるということを知って、沢山の常連が殺到しました。

余りに多くの客が来たので、材料が足りなくなって、

面倒くさいので、予定閉店日より前に閉店しちゃったのだそうです。

『今更、材料を仕入れるのが面倒くさい』 というのも 温州軒 らしくて何だかいいですよね。 (笑)


老舗の頑固親父を 『気に入る』、『気に食わない』 という話しがよく出ます。

『頑固と不機嫌』 を売り物にするというのはいかがなものかとは思いますが、

何十年も同じ事を繰り返していれば、知らない客に愛想良く振舞うのも面倒くさいというのも良くわかります。


グルメ本を片手にあちらの店、こちらの店をウロウロしてもたいてい失望してるんではないですか?


美味しい食事というのは、お店の人とのコミュニケーションが欠かせません。

お店はオーナーとスタッフの努力だけではよい店にはなりません。

お店はしょっちゅう顔を出す良いお客がいて初めて良い店になるものだと繰り返して主張します。(笑)