どんと紅白 その2

昨日、『私を含めて、売上重視にやや傾いていった』

という表現をしました。

誤解の無いように付け加えますが、ミュージシャンに売上重視が故に

何かを押し付けたり、いやがることを無理強いしたという

事実はなかったと思います。

ただ、CDの売上枚数がどんどん伸びるごとに

会社全体がとても気分良くなっていきました。

まあ軽く酔った様な感じになるんです。(笑)

社員の気分が高揚すると、その気分はミュージシャンにも伝染するんです。

CDの売上枚数が伸びるということは、多数のお客さんにあわせて、曲がやや甘くなるということです。


開高 健 さんという作家が居ました。

立派な文学作品やドキュメンタリー作品を沢山残していますが、

片方で大変なグルメでもありました。

彼の文章に、 『味覚には五階級あります。最上が苦味、次に辛味、その次酸味、塩味、最底が甘味 です。

日本の料理は、多くの人にウケようとして、最近甘くなりすぎています。

日本料理の将来が非常に心配です。』

というのがあって (正確ではないかも知れませんし、出典もどの本に書いてあったか不明ですが大意は間違っていないと思います。)

開高さんの言っていることは 『正しいよな』 と今も思っていて、

これって音楽作品にもあてはまるなと、いつも思い出します。


で、話しを昨日に戻すと、ボ・ガンボスの音楽は

苦味と辛味たっぷりの料理だったと私は思っています。

ですからやや甘味が強くなりつつあるその当時の EPICソニー のレーベルとの音楽と比べて、私は衝撃を受けたのです。

そして、ボ・ガンボス と契約しました。


(続く)