ウォークマン その2

昨日「誰がCDをチャンと聴いてくれているのだろう?」と書きましたが「どうすれば、音楽を体で感じてもらえるのだろうか?」というのが 今日の主題です。

大部分の人は、音楽をヘッドフォンで聴いています。
オーディオステレオ装置をいまだに使って音楽を体で感じている人もいますが、そういう人達を「オーディオマニア」と呼んで今や「特別の人」視 しています。
ウォークマンが 世の中に紹介された頃のように、家のなかでは オーディオ装置を使用して大音量で、 屋外では ヘッドフォンステレオを 楽しんでもらいたいのですが、そんなことは無理だとわかっています。 

ユーザーの多くの人が 大型のオーディオステレオ装置でレコードを聴いていた頃、(60年代から80年代にかけて)ミュージシャンはレコーディングに長い時間をかけて、それぞれの楽器の特徴が 再生されたときに最大に発揮できるように 工夫を重ね、気持ちの良い重低音を ユーザーの部屋に届けようと努力をしました。
詞、メロディー、アレンジ、演奏 更に付け加えると 音圧は ミュージシャンの主張の重要な要素の一つだったのです。気持ちの良い音楽を楽しむということは 音圧を感じることも含んでいました。 ですから私達は ステレオオーディオ装置を 重低音を よりよく再生する高級なものに 少しずつ買い換えていきました。

ウォークマンが世の中に登場して 音楽をヘッドフォンで聴くようなスタイルが主流になったら、音圧の意味が無くなります。 耳が耐えられる音圧には 限度がありますから どうしたって、音量を調節しなければなりません。 というよりも 体で感じさせる重低音の必要がなくなって 耳だけで気持ち良く感じられる音作りを 目指すようになるのが 自然です。

で、スタジオでの音作りに 変化があるのかどうかを レコーディングエンジニアに 質問しました。
ミュージシャンは 「ユーザーは ヘッドフォンで 音楽を聴く」というスタイルが 主流になっていることを知っているので、最近は中低域をベースに音の組立てをすることが増えています。という答えを得ました。
そういえば最近のバンドの音は「なんだかサラサラしているな。」と感じていたのですが、そういうことだったのです。
ヘッドフォンでCDに含まれている音を全て感じ取れるのか?という私の疑問は 意味をもたなくなってきているのです。(笑)
ミュージシャンの音作りの目標が、ヘッドフォンで楽しむのに最適の音を 目指し始めているのです。(つづく)