放送と通信の融合は正しいのか?その2

昨日29日(月)の日経を見ていたら「SOCCER 巨大ビジネス」という記事を見付けました。

放映権をとれなかったのは経営陣の見通しが甘かったからだ」。今月17日、独ミュンヘン市内で開かれた欧州衛星放送大手プレミエーレの株主総会は経営陣への批判が渦巻いた。
昨年12月末に決まった独ブンデスリーガの今夏からのテレビ放映権料は年4億2千万ユーロ(約六百億円)と四割も上昇。 落札できず放映権を失ったプレミエーレの株価は半値以下に暴落したのだ。
放映権を得た独ケーブル大手アレーナはプレミエーレの半額以下となる月9.9ユーロ(約千四百円)の料金を設定。
欧州のメディア産業のアナリストは「プレミエーレは350万人の加入者のうち、100万人近くを失う」と予測する。
プレミエーレの苦境は、今月初めに決まった英イングランドプレミアリーグの巨額契約の伏線になった。 2007年から3シーズンの放映権料は英国向けだけで17億1千万ポンド(三千六百億円)。1シーズン138試合で割ると、1試合当たり八億六千万円の計算になる。
現行契約から7割近く急騰したのは、放映権を独占してきた英衛星放送大手BスカイBがプレミエーレの二の舞いを恐れたから。

昨日私は「新しい媒体がでてくると新しいエンタテイメントが生まれる。」と書きました。ヨーロッパで衛星放送あるいは ケーブルTVという新しい媒体が生まれたらサッカーが その新しい媒体の最強のコンテンツあるということが判明し、サッカーの放映権の獲得競争がはじまりました。 この記事の他のところで英プレミアリーグの放映権料(英国内のみ)の推移が記されています。
1986年 年310万ポンド
1992年 年6000万ポンド
1997年 年1億7,000万ポンド(?)
2002年 年3億7,000万ポンド
2004年 年3億4,000万ポンド(?)
2007年 年5億7,000万ポンド

1986年から20年間で放映権料は 184倍です。
普通では考えられない高騰です。
多分新しい媒体はキラーコンテンツを必要とし、サッカーを選んで最強のソフトに育てあげたのでしょう。 しかし媒体が育成し人気が出るようになると、ソフトコンテンツの立場が強くなって 媒体は自分で自分の首を締めるという結果になるのですが、 そしてそれは私のようなスタッフが汗を流してミュージシャンをビッグにすると、スタッフの思う通りにならなくなるという構図と全く同じです。(笑)

ソフトビジネスというのは本質的に こんなものなのです。
経済的合理性を追求しても必ず裏切られてしまいます。
それを判っていて、それでもなお 新しい最強コンテンツあるいは 最強のソフトを作りたいという熱い思いがなければ失望することになるのだと思っています。
IT業界の人達に私のようなソフト業界の人の考え方がどうしても届かないなと思うのはこういうことなのです。
放送と通信の融合などという事を考えないで 自分達で創り上げた新しい文化の上に それにふさわしい新しいコンテンツを創り上げなければ、新しい時代を創る旗手として拍手をしにくいのです。