ウォークマン

1970年代の終わりに、ソニーが ウォークマンを発売しました。
これが、おもしろい商品だったので、その後 CDウォークマン, MDウォークマン と推移し、現在のiPODを中心とした HDDや メモリー搭載の ウォークキングステレオに 進化しています。

音楽を聴くという体験が 家庭の居間だけでなく 屋外でも できるようになって 私達は 「いつでも、どこでも」 音楽を楽しめることになりました。
当然 初期の段階では、家のなかではステレオ・オーディオ装置の 大音量で楽しみ、外出先で ウォークマンを楽しむというライフスタイルが 可能になりました。
居間にある ステレオオーディオ装置の前で レコードを聴くという鑑賞方法は 「レコードを擦り切れるまで聴き込む」 という表現を生んだ程、意識が 自然に 音楽に集中 します。
一方、ウォークマンで聴く音楽は 電車の中とか、人と待ち合わせている場所とか 環境のせいなのか、理由ははっきりしませんが、聴いている音楽は 何だか頭のなかで フワフワ して、体に定着しない感じです。
でも気軽に ウォークマンで音楽を聴くというスタイルは 若い人に広まり、親と顔を合わせたくない、あるいは 親と話をしたくない反抗期の中学生、高校生は 家のなかでも ウォークマンのヘッドフォンを 頭に装着して 「俺は音楽を聴いているんだ!」 「何を話しかけても俺には聞こえないぞ!」 という 「親とのコミュニケーション拒否」 の印としたものです。(笑)
そんな音楽を聴くスタイルの変化は 居間のTVの横にドーンと存在していた ステレオオーディオ装置を 無用の長物 と化してしまい、音楽を聴くのは ヘッドフォンステレオでいいや というスタイルが 徐々に定着してしまったのです。
それまでの 「一枚のレコードを擦り切れる迄 熱心に意識を集中して聴き込む」 から ヘッドフォンステレオで聴く音楽は 「数多くのレコードを テープにダビングして軽く聴く」 というスタイルに少しずつ変化しました。 
そんな傾向にピッタリなのが「貸レコード」だったのです。 「数多くのレコードをテープにダビングして軽く聴きたい!」という消費者の欲求は 数多くの音源を必要としますから、それを全て買うことはできません。 それが「貸レ」が「アッ!」という間に全国に拡がった理由でしょう。
ソニーが創りだしたウォークマンが「貸レ」という業態を生み出しました。
そして高級ステレオオーディオ装置は 衰退し、ミニコンポ ラジカセで十分だ という時代になりました。
ニコンポ ラジカセは それらに付いているスピーカーで音楽を聴く というよりも、テープにダビングする装置 という意味合いの方が強くて、大方の人は 音楽を 室内でもヘッドフォンで 楽しんでいるのだと思います。
そうなると誰がCDをチャント聴いてくれているのだろう? (続く)