今の作品は過去の歴史の上にある

敬老精神をアテにしていては楽しい老後は送れない。
・・・中略
それにしてもと思ったのが先日あるOBから聞いた話。
野球選手は10年働くとバッジがもらえ 球場の出入りが自由になるはずだった。
ところが 阪急で3度盗塁王に輝いたバルボンさんがある球場でそのバッジを示しても通してくれなかったという。
係員のウッカリか いつしかOB優遇の必要はないとなったのか。
ただもう少し敬意が払われていいのではないか。
公式戦の始球式に野球のOBでなく、タレントを呼ぶのが当たり前になっているのでもわかる通り 球界は古い人を早く忘れたいと思っているらしい。
特権をあたえろというのではない。
ただ時々思い出してくれるだけでいいのだ。
・・・中略 (年間80試合の最多登板記録を作った阪神藤川投手と西鉄の稲尾投手の年間78試合登板42勝を比較し感想が述べられています。そして結論に導きます。)
記録も年俸もプロ野球70年の一本の歴史の上にある。
古い人を大事にするのはその時の重みを知ることでもある。

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上の文章は 日本経済新聞12月8日付スポーツ面のコラムからの引用である。
このコラムは元西鉄ライオンズの名内野手だった豊田泰光さんが 「チェンジアップ」 という題でお書きになっています。
数日前に 「ビリーワイルダー監督」 のスピーチを小林信彦さんの文章を介して引用しました。
映画も野球も今風に言えばソフトコンテンツです。
でも 映画は映画です。 野球は野球です。 音楽は音楽です。
ソフトコンテンツとひとくくりにして ひと山いくらかでまとめて取引されている気がしませんか?
私は昨今のこんな風潮を 「面白くねーな」 と思っております。
そしてそんな風潮を作っているのは 世間ではなく 実は私を含む業界の人達なのです。
これが問題なのです。