サントリーサマーフェスティバル

毎年8月の末に、サントリー音楽財団が 東京溜池のサントリーホールの大ホール、小ホールを使って サマーフェスティバルを 開いています。
サントリー音楽財団の サマー・フェスティバルの特徴は、日頃 聴く機会の非常に少ない クラシックの「現代音楽」を系統だてて 紹介しているところにあります。
正直に言えば、殆ど 大衆から見向きもされない芸術音楽を 決して少なくないお金と手間をつかって サポートし続けてきた 故佐治敬三氏の 文化に対しての 姿勢に頭が下がる思いがするのですが、 佐治敬三氏が亡くなられた後も 平気な顔をして この事業を続けている サントリーという会社の すごさと素晴らしさを このブログを読んでいる皆さんにお伝えします。

「サマーフェスティバル2006」開催にあたって」という 一文を引用します。

サマーフェスティバル2006 開催にあたって
岡部真一郎

サントリー音楽財団サマーフェスティバルは、今年も4つの柱、計8回の催しで構成されています。
スイスの音楽家パウル・ザッハーは、20世紀音楽史の陰の立役者とも言うべき存在でした。「あるパトロンの肖像」と題する2回の演奏会は、彼が委嘱、初演した作品、あるいは彼に献呈された幾多の名作のなかから、選りすぐりの10曲をプログラムに組みました。
自ら創設したバーゼル室内管弦楽団およびコレギウム・ムジク・チューリヒを中心とした指揮活動に加え、バーゼルにスコラ・カントルムを設立し、古楽の復興にも大きな役割を果たすなど、ザッハーは極めて幅広い活動を行いました。 作曲家、演奏家から音楽学者まで、そして長老から若手まで、彼の厚情を受けた音楽家たちの名は、文字通り枚挙に暇がありません。
ブーレーズのIRCAMでの活動も、ザッハーの力添えなしでは思い通りにはならなかったとさえ言われます。
直接の知己を得る幸運に恵まれたか否かを問わず、われわれが佐治敬三に、深い敬愛、尊敬と、そして親しみの情を今でも持ち続けているのと同様、ザッハーは、ヨーロッパ音楽界の「後見人」であり、誰もに愛された「父」のような存在だったのです。
「海外の潮流」の2回の演奏会では、イタリアの大家マンゾーニから、70年代生まれの韓国の2人まで、世代もバックグラウンドも多様な作曲家たちの近作10曲を日本初演します。
テーマ作曲家は、フランスのマーク=アンドレ・ダルバヴィ。シリーズの第30作となる委嘱新作の世界初演を含め、2回の演奏会で自らタクトをとります。(以下中略)

いかがですか?

お読みになっている方のなかに クラシックの「現代音楽」に精通している方であれば 別ですが、普通のクラシックファンでは ブーレーズの名を知っているくらいで、ほかの人は馴染みのないのが普通です。
世界のクラシック「現代音楽」の最高水準の人達の名を 音楽好きの あなたが 知らないというところに 現在のクラシック「現代音楽」の ある種の問題があるのだと思うのです。(次回に続く)