チームの成長と衰退の歴史
突然、昔の話になります。
私がEPICソニーを始めた時、私のセクションを立ち上げる為に、社員募集をしました。
兄会社(CBSソニー)から3名、外部から、音楽ビジネス経験者4名、音楽周辺ビジネス経験者2名、未経験者2名、新卒2名、それに私を入れて、14名でスタートしました。
CBSソニーからの応募が少なかったのは、当時CBSソニーは破竹の勢いでしたから、そんな良い環境を捨てて『将来がどうなるか見えていないレーベルに移りたくない』というのが、CBSソニー社員の気持ちです。
外部からの未経験者2名はVANという有名なアパレルメーカー(先日、創業者、石津謙介さんが亡くなりました。団塊世代が若者だった頃、皆お世話になりました。)が突然倒産した直後で、失業した優秀な人が沢山応募してくれたんです。
『音楽も、アパレルも流行りに敏感じゃなければいけない。VANの元社員なら私とリズムがあうだろう』という乱暴な理由で採用しました。
旧来型とは違う新しいことを始める時は、その新しいコンセプトを信じ、それを成功させようという情熱を持った極少数のチームからスタートさせなければ、決してうまくいきません。
最初に人数が多いチームだと、旧来型の考えを持っている人が混じります。
新しいことを始めようというのに、コンセプトを心から理解していないので、旧来の経験を持ち出されてしまいます。
その人の考え方を変えようと説得するのに、もの凄く時間がかかります。
新しいことを始めようという少数の中心メンバーだけなら、基本的には考えが同じですから、議論は活発で結論に至るスピードはもの凄く早いのです。
でも仕事は2人や3人ではできません。もっと人数が必要になります。
その時必要なのは、旧来型を知らない未経験者や新卒が最適なのです。
中心メンバーの出す実行の指示を聞いて、何も疑わずに全力で実施しようと走り出します。
そして、そこから小さな結果が出ます。
未経験者ですから、その小さな結果でも凄く自信になります。小さなチームですから、中心メンバーと未経験者はその小さな結果について、たびたび話をします。
話をしているうちに未経験者も、中心メンバーのコンセプトを理解するようになります。
はじめ極少数のチームからスタートした会社も、コンセプトを完全に理解した、30名ぐらいの会社に成長します。
こんな時期が一番楽しいんです。
EPICソニーもプレイステーションのSCEも、こんな楽しい時代がありました。
でもここに落とし穴があるのです。(笑)
(続く)