久世光彦さんのこと 4

久世光彦さんが TBSのディレクター時代演出したドラマは、今思い出してみると、舞台は
”いま”(60年代70年代)に見えるけれど、設定は ”いま”より10年から20年前の
家族と家庭だったのだ、ということです。

七人の孫”や ”寺内貫太郎一家”で描かれているような家庭や家族というのは ドラマが
発表されている時は 丁度高度経済成長時代のど真ん中ですから 既になかったのです。
大家族はなくなり核家族化は完了していた筈です。
私たち兄弟姉妹は”祖父祖母”、”両親”、”自分達”が皆で一緒に暮らしていた家庭から
一人づつ独立して 新所帯を持ち、実家の両親と暮らす祖父祖母が順に亡くなって 両親だけが
実家に残るという ライフスタイルを ”新しい”と考えて実行し現在に至っています。

久世さんは この核家族化してしまう前の”ちょっと古い”日本の家族、家庭をTVドラマのなかで
再現していました。
そして 多分秘かに ”ちょっと前の、ちょっと古い日本”を愛していたのだと思うのです。