久世光彦さんのこと 6

「何を言おうとしているのかわからない」の二段重ねだろうと昨日書きました。

まず 久世光彦さんが ドラマの名ディレクターであったことを知らない人が多数いらっしゃるだろうと気づきました。
まして その知らない 久世さんが その死を惜しんでいる山本夏彦さんのことを知っている人はさらに少ないでしょう。
ですから 「わからない。の二段重ねだろう。」と言ったのです。

久世さんのことは ここ数日書き続けていますので 何となくおわかりいただけるかと思いますが、山本夏彦さんについてはなじみがないと思います。
(2005年10月16日と17日にこのブログで山本夏彦さんについて書いていますから見ていただければ幸いです。)

山本夏彦さんは慧眼の士(けいがんのし)ですから 山本夏彦さんが認める人というのは
今の時代には殆どいません。
山本夏彦さんの文章を読んでいると 時々「誰が〜と言った」といって名前が出ています。
私はその名前を見て「あ、山本夏彦さんはこの人のことは 認めているのだ。」と納得します。

文芸春秋平成12年3月号あるいは文芸春秋社「最後の波の音」所収の文章から引用します。


「今人に知己が得られないなら故人にそれを求めるより他ない。
少年の私は故人の紹介で 有名無名の故人と知り合った。
私は私を半分死んだ人だと言ったら、久世光彦さんはまるごと死んだ人だといった。」


この文章の中に久世光彦さんの名前がでてきます。
つまり 山本夏彦さんは久世光彦さんを認めています。
山本夏彦さんが名前をあげている人は 安部譲二小林信彦向田邦子山口瞳、他にも
いますが 数少ないのです。