近過去 その 1

私は「近過去」に自分がどうして興味を持つのだろうと自問自答します。


大学に入学するまで「鳴くよ うぐいす 平安京、平安遷都は794年」などと一生懸命
年号を覚えていた記憶しかありませんから、「近過去」に興味がでてきたのは 社会人に
なってからです。

私の祖母は私が高校2年の夏に亡くなりました。
祖母は慶応3年生まれですから 江戸時代生まれになります。
私のまわりにいる若い女の子にこのことを話すと、皆一様に仰天します。
「幕末、明治維新」と「関が原の戦い」とが彼女達からみると、殆ど同時期に思えて
しまうのでしょう。


祖母は私の家族の近くで生活していましたから、中学生、高校生の時に昔話をちょくちょく
話してくれました。
でも その頃の私には過去のことに興味がありませんから せっかくの話しを何も覚えて
いないのは残念なことです。


若者は「近未来」あるいは将来にしか興味がなく「近過去」に学ぶことがあるとも思いません。


大学に入って「経済史」とか「○○史」といった課目毎に講義の冒頭は その課目の
歴史から入るのが常です。
「成程。世の中のあらゆることに歴史があって それをベースに今があるのだ。」
と、大学の講座で たったこれだけを納得して卒業しました。(笑)


「自分がどう生きようとするのか」と若い人は一様に悩みます。
「自分が今このように生きているのは何を根拠にしているのか」などと考えちゃいます。
今の自分自身を肯定するにしろ否定するにしろ 何で「今」自分がこうなってしまった
のかを知るには 「今の前」を見なければなりません。
その「今の前」になったのを知るには 「今の前の前」を見なければなりません。
そして「今の前の前の前」はどうだったんだろう・・・・・・。
で、私のことなど誰もかまってくれないし 解説もしてくれませんから、自分自身で
過去に遡らなければならなくなります。


まあ そんなわけで私は「近過去」に興味がでてきたのだろうと思うのです。