ブランド品 その2

1970年に私は香港に駐在していました。

香港にはまだ九竜城があった時代です。


日本は 『いさなぎ景気』 がそろそろ終わろうとしていましたが、

春闘』 でベースアップ1万円を超過する企業が続出する

という時代です。その頃の私の給料が3万円をちょっと上回る程度

だったと思いますから、前の年に比べて30%近く

給料が上がったのでびっくりしたことを覚えています。

大阪万博が開かれ、それに間に合わせるように前年には

東名高速道路が全面開通しています。

一方で 三島由紀夫 割腹自殺事件が起こっています。


1970年というのは一般家庭の日常生活に必要なものは

ほぼそろって更にその上の贅沢を私たちが求め始めた時期

だったのでしょう。

イデオロギーの対立が終息し、人々の興味は一気に 『経済』

個人でいえば 『収入』 に移った年でもあるのかもしれません。


銀座に サンモトヤマ という輸入雑貨セレクトショップがありました。

この頃は、今のように 『ブランド』 の独立したショップは

東京にありませんから サンモトヤマ が流行の最先端だったわけです。


流行の最先端をいきたい人は更にその先にいきたい人です。

そんな人達が香港にやってきました。

香港には 『ブランドショップ』 や 『ブランドセレクトショップ』 が

数多くありました。


私が日本に戻ってきた73年には 『ブランド』 はすっかり

日本に定着していたのです。


流行は日本では昔から花街と役者から始まります。

ですから 『ブランド』 が 『銀座』 と 『芸能人』 から始まり拡がるのは

当然のことです。

そのうえ今の時代はTV番組がありますあkら

番組をとおして全国に拡がりました。

ところが沖縄だけはこの 『流行』 に飲み込まれていないのですね。


1970年以降生活に必ずしも必要のないものを 『カッコいい』 と

思い次々と購入しその為にアクセク働くという

ライフスタイルを続けていて、『疲れるなあ!』

と何となく思っているのですが、

沖縄に居るとそんな 『バカ』 なことをしている人が

少なくて、 『必要なもの』 があれば十分楽しく

生活できるということを感じることができるので

『ホッ』 とするのです。