ユーリ・バシュメット

23日(木)は東京フィルハーモニー音響楽団のオペラシティー定期
に行きました。この日は指揮者がユーリ・バシュメットというヴィオラ奏者です。


私がクラシックを聞きはじめたのは高校生の頃で
親が電蓄を買ってくれたのがキッカケです。
白黒TVを買うのか電蓄を買うのかという選択があったのですが、
その時、親は電蓄を購入すると決めたので、私の家に白黒TVが
入ったのは一般の家庭に比べ随分遅れました。
電蓄と書きましたが、まだステレオの時代に入っていなかったのです。


大学卒の初任給が一万円前後の時代にモノラルのLPレコードが
1枚2000円ぐらいだったと記憶していますから、とても高価なものです。
ですからレコードを買うというのは大変で、年に3枚ぐらいしか
買うことができません。
「レコードをスリ切れる迄聞く」という表現があります。
当時の若者は1枚のLPを買う迄に大研究してようやく1枚を買うと、次のLPを
買う迄毎日毎日同じレコードを聞くのですから
本当に「レコードがスリ切れる」迄聞いたものです。


私の家に電蓄が入って直にステレオの時代が来ました。
知り合いの大学生が電蓄を改造してくれて私の家の電蓄は
見事に「ステレオ」に変身しました。


電蓄を買った時に、親はクラシックのレコードを買ってくれたので
カラヤン指揮のベートーヴェン交響曲第6番「田園」とケンプの弾くベートーヴェン作曲ピアノソナタ
「月光・悲惨・熱情」とフランチェスカッテイの弾く
チャイコフスキー作曲、メンデルスゾーン作曲のヴァイオリン協奏曲2曲のカップリング、
いわゆる「メン・チャイ・協奏曲」の3枚でした。)
半年か1年かもう覚えていませんが、朝と夜、
時間さえあればこの3枚を飽きもせずに聞いていました。


他に聞くレコードがなかったのでただそれだけの理由で「クラシック好き」になってしまいました。(笑)
親が最初に「ポップス」のLPを3枚買ってくれいたら
私は多分「クラシック好き」になってはいないでしょう。
環境によって人は簡単に変わるという見本のような人間だと
自分のことを考えます。(笑)


話を元に戻すと、ユーリ・バシュメットヴィオラの演奏には
ビックリしました。余りに洗練され、余りに完成度が高いのです。
後で知ったのですが、この人は今、というより史上最高のヴィオラ奏者
なのだそうです。予備知識が無かったので
私は大発見をした気分でしたが、史上最高のヴィオラ奏者と
いわれているのであれば「その通りだ、世間の評価は
それなりに正しい!」と納得しました。(笑) (続く)