昭和史 その6

私は「何かを成し遂げたい」という意欲を持っています。私がそう思っているのですから「他人もそう思っている筈だ」と思っています。

私は子供の頃から医者になりたいと思っていました。

医者というのは 誠実に医療を遂行すれば 患者に感謝されますから、自分のしている事が世の中の人の為になるかどうかといったことで、悩む必要もない立派な仕事だと思っていたのです。しかし医者になるには、数学の成績が良くなければなりません。私は、数学が苦手でしたから「医者になる」という夢は実現できませんでした。
数学の成績が悪くても「良い医者」になれると今でも思ってはいますが、数学が苦手では医者になれません。

最初の目標が達成できなかったということは挫折したわけです。

生きていくのに次の目標がハッキリしないうちに20代は過ぎてしまいました。

たまたま入った業界が音楽業界で、そのなかで「世の中に自分の才能を知って欲しい」というミュージシャンに沢山出会いました。ミュージシャンは「何かを成し遂げたい」という意欲にあふれています。私はそういったミュージシャンを「世の中に送り出す」ということにかかわっていると自分が「幸福」と感じることができるということに気づきました。そんなことで、音楽業界に40年近くいるのです。

この業界に入って来る人は、みんな私と同じような気分なんだろうなと思っていたのですが、どうも そうでもないと途中で気付きました。組織がデカクなると、私のような素朴な考えだけでは生きていけないようで、本来の目標よりも、組織そのものの維持発展が優先されるようになります。

「まるさん」だから「素朴な思い」を押し通すことができたんですよ。と良く言われてしまいます。本当にそうなのだろうか?と考えはじめて、どうも組織がデカクなると、どんなに気をつけても人間は「素朴な思いとか初心」を失なわされてしまう「病」にかかってしまうようです。

そんな理由から「昭和史」を勉強しようと思いたったのです。

敗戦前の「昭和史」の大部分は、日本の陸軍、海軍の歴史です。陸軍海軍は超大組織です。デカイ組織の陸軍海軍が、どうしてあのような無謀な戦争を始めてしまったのかは、今の私達には全く理解できませんが、デカイ組織が必ず陥る「病」にかかっていたことに間違いありません。 

昨日も書きましたが、創業者たちが汗水流して作り上げた一流ブランドを、後継者達が、その一流ブランドの価値を高めると称して馬鹿なことを(本人たちは、大真面目なのですから救われません。)してしまいます。

「デカイ組織は必ず日本の陸軍海軍のようになってしまうのである」と思った方が良いようです。そうであるならば組織は「小さいがいい」になるわけです。(続く)