クリエーター大国 その1

昨日予告したように 本日から 内閣府知的財産戦略本部 コンテンツ専門調査会 デジタルコンテンツ・ワーキンググループ(第2回)議事録を転載します。

コンテンツ専門調査会
デジタルコンテンツ・ワーキンググループ(第2回)議事録



1. 日 時: 平成17年12月1日(木)11:00〜12:30
2. 場 所: 虎ノ門パストラル新館5階ローレル
3. 出席者:
【委 員】 牛尾会長、荒川委員、小川委員、金丸委員、久保利委員、國領委員、浜野委員、平澤委員、角川本部員
参考人】 丸山参考人、山賀参考人
【事務局】 荒井事務局長、辰野次長
4. 議 事:
(1) 開会
(2) デジタルコンテンツの振興戦略について
(3) 閉会


○牛尾座長 では、定刻になりましたので、ただいまから「コンテンツ専門調査会第2回デジタルコンテンツ・ワーキンググループ」を開催したいと思います。
 本日は、前回に引き続き、デジタルコンテンツに関する政策について検討してまいります。
 本日は、お二人の参考人にお越しいただいておりますので、御紹介を申し上げます。
 元ソニー・ミュージックエンターテインメント社長で、現在、音楽のインディーズを中心とした新しいビジネスを手がけていらっしゃいます株式会社に・よん・なな・みゅーじっく代表取締役丸山茂雄参考人です。
 次に、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な株式会社ガイナックス代表取締役山賀博之参考人です。
 後ほど、お話をちょうだいしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 では、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

中略

続きまして、資料3は、第1回で委員の皆様から提起していただきました意見、意見募集において寄せられた意見等を参考に、事務局で作成いたしました「デジタルコンテンツの振興戦略(課題と解決の方向)(案)」でございます。
 1ページからは「目標1:ユーザー大国に向けた課題」であります。
 3ページからは「目標2:クリエーター大国に向けた課題」であります。
 5ページからは「目標3:ビジネス大国に向けた課題」であります。
 また、資料4として委員の皆様からの配布資料であります。
 なお、資料5として、今後のスケジュールの予定を配布しております。
 資料の説明は以上でございます。

○牛尾座長 どうもありがとうございました。
 では、続きまして、参考人の方のお話をちょうだいしたいと思います。その後、各委員からの御発言をちょうだいすることになっておりますが、まず丸山参考人から、大体5〜6分ぐらいの感じでお話をお願いいたします。

ここまでが 会議の冒頭の部分です。

丸山参考人といわれるとちょっと“ドキッ”とします。
参考人というのは 何だか悪いことをして警察か検察に呼ばれて容疑者の少し前の事情聴取をされている人の気分です。(笑)

ここから 丸山参考人の発言です。

丸山参考人 参考人の丸山です。今日、いただきましたのは、クリエーター大国に向けての課題ということで、自分の今やっていることを話してみなさいということだったので、お話しいたします。
 第1回等々で資料を読ませていただきました多くのところに、基本的に問題点というのが出ていると思っています。ただ、その中で、何もデジタル時代ということではなくて、コンテンツをつくる側あるいはクリエーターの側から見た場合に、ここにある問題点というのはずっと長いことあった問題点でありまして、何も今の時代に急に起こったことではないということが基本的には大部分だと思っています。
 こういうふうに、クリエーター、あるいは物をつくる側が常に何十年と困っていた問題等々がこういう形で取り上げられる時代が来たのだなという感は深くいたしますが、この一つ一つの問題についてお話しすると言いますと、この場にそぐわないと思いますので、デジタル時代というところに絞ります。
 今のデジタル時代というのも、いろいろ幅が広いんですが、特にここのところ、昨今問題になっているのは、通信といいますか、インターネットあるいはブロードバンドといったところに焦点を当てた方がいいと思っています。
 その部分で言いますと、従来型と全く違うのは、私、もともとソニー・ミュージック・エンターテインメントにおりました。それから、ソニー・コンピュータエンターテインメントでゲームのビジネスも立ち上げました。その立場から言いますと、従来型というのは、私どもの立場というのはクリエーターがつくったものを私どものビジネスのスキームに乗せて、それをユーザーに広げるということです。私どものその仕組みを持っているところがなかなか絶大な力を持っていたわけであります。
 それは、映画の部分も、映画のクリエーターがどんなに映像をつくったとしても、配給網を持っているメジャーの大きい会社にはどうしても頭が上がらない。ですから、そこのところで権利そのほかというのをどんどん渡していかなければいけなくて、クリエーターの方に対するリターンが少ない。あるいは今も一生懸命、皆さんがアニメをおつくりになっているけれども、それは、例えば放送局にかなりの利益を収奪されてしまう。音楽もまことにそうであります。
 私どもも、やはりクリエーターとの配分の仕方が、私どもの方が多いとは言っても、私、元ソニー・ミュージックエンターテインメントにいたんですが、このスキームというのを維持していくということになると、クリエーターに対するリターンというのがどうしても少なくせざるを得ないというのがあって、これは私企業でありますから、不公平なまでに利益を取っているかどうかというのはなかなか難しい問題がありますが、少なくとも私どもは、まずまずのところで利益は取っているとは言っても、そういう形で配給、つまり個人のクリエートしたものをユーザーにまで持っていくというところの間には、何らかの仕組みがないとユーザーまで届かなかったというのが従来型です。
 ところが、今、起こっているのは何かといいますと、インターネット、ブロードバンドというのが何かといいますと、1というクリエーターがユーザーにそのまま届けられるという事態が出てきたわけですが、ではそれをうまく機能しているかといいますと、まだ機能していないというのが現状だと思っています。
 私が、今、mF247 という会社を立ち上げて、音楽の無料配信からスタートしようというふうに思っていますけれども、それは何かといいますと、クリエーターがつくったものをユーザーに届けます。それが、今、仕組みはあるんです。個人個人がホームページで発信するのは何ら問題ないんですが、検索というのが勿論ありますけれども、まず、そのクリエーターの名前を知らなければいけない等々の問題がありますから、それをがっと集めて、ユーザーに見てもらって、ユーザーがその中から新しいものを発見するという仕組みにしようと思っています。
 これが、もしうまくいったとすると何が起こるかと言えば、逆に言いますと、この資料をお配りしましたように、今までだとユーザーに届けるその手前でユーザーが何をチョイスするかというのは、業界人。放送局であれば放送局が選ぶし、レコードであればレコード会社が選ぶし、映画であれば映画の配給会社が選ぶわけですが、それを、その前に「b)インターネット型」で言えば、どんとユーザーの方に選んでもらって、それをもう一回一回りして、通常の今のマス媒体の方に乗せていくということが可能になります。
 簡単に言いますと、一般的には一番のプロトタイプをまずユーザーが評価して、そこに従来型のビジネスの人が集まってきてもいいし、あるいは全く、第1回目で問題になっていましたけれども、投資ファンドの方々や何かがそこにお金を投じて、もう少し作品をディベロップする、上位の方に持っていくということが可能になるということなんだろうと思っています。
 ですから、今までの従来型の間に入っている企業が若干中抜きされる可能性が出てくる。ないしはビジネスモデルを変えなければいけないという時代が来ているので、そういうインターネット、ブロードバンドの新しい使い方ということを考えれば、そう悲観的なことではないのではないかというふうに自分は考えているということで、私の話を終わります。