クリエーター大国 その4

今日は この調査会の委員のインデックスの小川さんの意見を転載します。 丸山参考人、山賀参考人、角川本部員(この方は上部組織の知財戦力本部の構成員です。)が話しをしたあと 小川さんが話しをしました。

○小川委員 インデックスの小川です。 中略  
  一方、市場は国内だけではなく、海外にも求めなければいけないというのはまさにそのとおりでして、ここから先、デジタルコンテンツの振興をより拡大化するのであれば、いかに日本のコンテンツを海外に流通させていくかということを視野に入れないと、恐らく本当の意味での発展はないのではないかと思っています。
 本題に入るんですけれども、私ども、モバイルコンテンツを営む会社ではあるんですが、iモードが1999年に始まりまして、これは本当に世界に誇る新しいコンテンツ流通のメカニズム、日本がいち早く確立した成功例ではないかと思うんですけれども、当初はモバイルコンテンツというのはいろんな制約が、それを実現するためには、例えば白黒画面に直さなければいけないとか、例えば着信メロディーを1つ取っても、今みたいな着うたなどというのは当然あり得なくて、非常にシンプルな着信音をつくらなければいけないというところでのコンテンツ加工の必要性があって、我々のようなモバイルコンテンツプロバイダーというものの市場が大きく立ち上がってきたわけですけれども、現状はインフラ、ネットワークが非常に大きくなったり、携帯電話の端末自体も非常に高度化してくる中で、必ずしも加工が必要ではない。コンテンツがそのまま流通できるようなレベルに達している中で、我々のモバイルコンテンツの定義もすごく変わってきたというのが実情としてあります。
 今の着信メロディーの例で言いますと、着うたないしは音楽配信が直接できるわけであって、勿論、着信メロディー自体の存在もこれから残るとは思うんですけれども、随分モバイルコンテンツの定義がこの5〜6年の間に変わってきたという背景がございます。そういうところで、今後モバイルコンテンツという事業を我々としてどういうふうに考えていくかという観点から、やはり、先ほど角川本部員もおっしゃられたように、マルチユースという観点に立って、モバイルコンテンツだけではなく、もう少し幅広い流通を視野に入れたコンテンツの作成とか権利の確保というものをしていかないといけない時代に来ていると考えております。
 その際に、マルチユースといいますと、ハリウッドがもしかしたら原点かもしれなくて、それは映画を中心とした、映画で劇場で封切られて、そこから何日間遅れでパッケージメディアが売られたり、ペーパービューがされたり、テレビ放送がされたりという一連のこういう流れがハリウッドを中心にできたんでしょうけれども、今後、日本では日本ならではの、新しいマルチユースのコンテンツ流通の仕組みとかやり方というものを確立していって、それをもっと世界にどんどん存在感を示していければいいのではないか。
 これは、コンテンツの提供側だけの発想ではなくて、ユーザーの方も非常に成熟してきていまして、コンテンツをいろんなウインドーで楽しむ。場合によってはお金を払ってもいいというのは、我々が考えている以上にユーザーの方は抵抗なく、とりわけ日本は成長してきていると思いますので、これはコンテンツを出す側だけの発想ではなく、ユーザー側から見ても新しいマルチユースを前提としたコンテンツビジネス、コンテンツ配信のやり方というものをもっともっと発展させていくべきではないかと感じております。
 最後に、その際に1つ、やはりボトルネックになっているのが、著作権の処理ですとかそういったところで、もともとはコンテンツの権利者を守るために著作権の管理というものの仕組みがいろいろ議論され、つくられてきていると思うんですが、若干、最近、本末転倒しているところもあるのかなと。コンテンツを管理するための管理みたいなところが議論の中心になっていて、結果的に権利者よりは、まずは権利を管理する団体のビジネスになっているような現状もあるのではないか。ですから、実際にコンテンツの権利者にももう少し幅広く、きちんと利益がもっと楽に配分されるような仕組みをトータルで考えていければいいのではないか。
 結局、そういうものができ上がらないと、先ほどの話に戻って、海外にマーケットを求めていく際にも、必ず権利者とのあつれきというところでネックになって、うまくいかないという現状から脱皮できないのではないかと思いますので、そういった点も今後改善していく必要があると感じております。
 以上です。

○牛尾会長 ありがとうございました。

インデックスの小川さんの考えを要約すると、
○デジタルコンテンツを振興、拡大するには海外を視野に入れなければいけない。
○1999年に始まった iモードのスペックの制約からコンテンツ加工をするモバイルコンテンツプロバイダーの市場が立ち上がった。
○2006年現在 コンテンツは加工せず そのまま流通できるようになった。
○コンテンツを出す側は ぼんやりしているので(そうとはハッキリ言っていませんが、ニュアンスではそう言っています(笑) 流通・配信をビジネスする側としては せっかくのコンテンツをもっとどんどん配信するようにした方がいいと考える。
○コンテンツ側は著作権処理が大変だと言ってモタモタしているが著作権利者にもっと楽に配分できる仕組みにすべきだ。
○これが機能しないと、海外に売る時にも 処理がうまくいかずに現状から脱皮できない。

おおよそ こんなところでしょう。

これに私が若干意地悪く解説すれば以下のようになります。

「1999年当時は モバイルの技術はまだ未熟だったので コンテンツをそのまま配信できなかったから、当時の技術にあわせて加工することで モバイルコンテンツプロバイダーは彼等独自のコンテンツを所有し配信することができ発展した。技術の進歩は加工することなしに オリジナルコンテンツをそのまま配信できるようになったが困ったことにモバイルコンテンツプロバイダーは独自のオリジナルコンテンツを そんなには 持っていない。 一方でオリジナルコンテンツを持っている本来の権利者は配信に積極的でないようにみえるから モバイルコンテンツプロバイダーが創り上げたポータルを使って配信させろと強くオリジナルコンテンツの権利者に働きかけている。
オリジナルコンテンツを持っている本来の権利者は 実は その権利を100%おさえているわけではなくて配信を実現させる為には その分配を各方面と話し合わなければならなくて、とても面倒で その話し合いが中々進んでいない。 だから早く その分配の仕組みを作って機能させて欲しい。」ということを言っているのです。 <続く>