音楽と技術革新 3

技術革新あるいは楽器の大きな改造がされたあとは、意欲のある作曲家は刺激を受けて、その効果を実証しようと、最大限の努力をはらい 新しい試みを挑戦して曲を作ります、 聴衆はその斬新は作品に驚き高い評価を与えて称賛するか、音量が大きすぎるとか、音楽的でないとかいって非難するかに分かれるのですが、しばらく時間がたつとこの新しい作品は高い評価を得ることとなり、様子を見ていた他の作曲家も続々と新しい技術を使い始め、アッという間に一般化されるという過程をたどります。 この「様子を見ていた他の作曲家も 続々と新しい技術を使いはじめる」という時間が 「熱気と興奮」をまきおこす時期ですから、この時期を体験した「業界人」は その「熱狂の日々」の楽しさを忘れられなくて 死ぬまで「業界内」にとどまりたくなってしまうのです。(笑)
こんなことを書いている私がそのうちの一人であることはいうまでもありません。(笑)
しかし アコースティック楽器の進化がとまり、エレキ楽器の進化もとまり、コンピューター楽器の進化もほぼ行き着いてしまった今、作曲家は何から刺激を受けて、新しい作品を生み出そうと努力するのでしょうか? 聴衆はどんな音を聴いたらビックリして興奮をするのでしょうか?
これから先、作曲家を刺激するビックリする程の技術革新というものはあまり期待できないと思います。ということは、聴衆が興奮してくれる状況が生まれそうにないのです。 「熱狂の日々」は去りました。再び「熱狂の日々」は戻ってこないでしょう。
それならば「音楽人」はどうすればいいのだろうか? という問題が私達「業界人」に重くのしかかってきているのです。