レコード史 8

1970年代にアナログ技術が最高度にまで進化し、新しいAV機器が つぎつぎに市場に投入され、私達の家庭に 入り込みました。 その技術が おもってもみなかった 変化・変質を音楽にも与えました。
カラーTVが 各家庭に入り込んだ時期に、アイドル歌手という それ迄になかったジャンルの音楽(?)がハヤリはじめました。 それ迄 茶の間にあった白黒TVの番組で人気があった歌手達と 明らかにタイプが違います。どのように違うかということを 「大声」で言いにくいのですが(笑) 「小さな声で」言っちゃいますと、それ程 「歌唱力」がなくても 「OK」なんですね。(笑) ハッキリ言って 「歌唱力」より 「見た目の良さ」が重視されました。 「見た目の良さ」というのは 「美人」であるというわけでもありません。 「何となく新鮮に見える」ということなのです。 「歌唱力」がそれ程なくて 「何となく新鮮に見えるアイドル」を 「明らかに新鮮なアイドル」に見せるには、新鮮な詞とメロディーとアレンジを必要とします。 新鮮な発想を得るには 必然的に洋楽の研究に向かいます。 この時代の作詞家と作曲家とアレンジャーの仕事は、綿密な洋楽研究の成果であり、現在のJ−ポップの基礎は この時期に出来上がりました。
初期のカセットデッキを 今みることが可能だったら、 多分その不細工なデザインに驚くと思います。 多分 発売を決めた人達もユーザーが どのような反応をするのか想像できなくて、とりあえず売り出してしまったという感じのものです。 ソニー、アカイ、ティアックなどが プロ級と称し、 高価格、高音質のオープンリール・テープデッキ の全盛期ですから、明らかに音質の劣る カセットデッキが売れるとは 誰も考えてもいなかったのでしょう。 しかしこれが予想に反し売れました。 FMチューナーと直結し 「エアチェック」をすれば新しい音楽を手に入れる最高の機材になりました。 更に70年代の最後に ウォークマンが 発売されました。 ウォークマンの最大の特徴は 室外でも音楽を楽しむことができるということにあります。 ウォークマンの一号機をたまたま私は手にしましたが、その時の感想は 「屋外でも聴くことができる便利なハードができたなあ!」だけでした。(笑)
音楽を楽しむということは プレーヤー・アンプ・スピーカー・FMチューナー・オープンリールデッキ・カセットデッキというでかくて重い器材を部屋に並べて楽しむものである、と私は勝手に決めていたのですが、「ウォークマン」の普及が思いアンプや でかいスピーカーを 家のなかから追放するなんて、その時考えもしなかったのです。