レコード史 10

1970年代末から1980年代に入るころは、未だ家庭のなかでステレオオーディオ装置は大きな顔をして存在していました。 しかしカラーTVが居間の中心に置かれ、VHSのビデオカセットデッキがTV受像機の横に置かれ、1983年以降にはファミコンがTVと繋がれるようになると、狭い日本の家庭の居間では 何とも大きなステレオオーディオ装置は 邪魔な存在となりました。 気がついてみると、TVのモニターは TV番組を見るための受像機としてだけでなく、 ビデオの再生にも使っているし、 TVゲームにも使っていますから、 一日中活躍していて、 音楽をゆっくり家で聴くという時間はどんどんなくなってしまいました。 私達は家のなかでは TV番組を見たり、ビデオを見たり ゲームで遊んだりと、とても忙しくなってしまったので、音楽は外で 「ウォークマン」か 「カーステレオ」で聴くのが普通のスタイルになりました。
1985年頃から CDが爆発的に普及したことも、 大きくて重いオーディオ装置が ミニ・コンポという小さくて軽い オーディオセットに買い換えられた理由でもあります。 ミニコンポという オーディオセットは、それで音楽を聴いて楽しむのが主たる目的の機器ではなくて、 「ウォークマン」や 「カーステレオ」で聴く為の 「テープ」(後では「MD」になったわけですが)を作る為の 編集機器だったのだと今にして思うのです。