レコード史 2

今年はモーツァルト生誕250年を記念して、世界各地でモーツァルトに因んだ音楽祭が催されたり、日本でもモーツァルトの生涯を見直すTV番組が企画されたりして、あらためて注目されています。
モーツァルトが生まれた1756年から 35才で亡くなった1791年にかけての時代はレコードが発明される前です。音楽は楽譜を書き、それを演奏したら それで終わりです。 評判が良ければ二度、三度と再演されることもあったのですが、普通は再演されることはありません。 天才モーツァルトですら、自作をプロモーションする為にヨーロッパ各地を旅しなければならなかったのです。 苛酷なツアーが彼の健康を蝕み、35才で亡くなってしまいました。 彼のヨーロッパツアーは宮廷の楽団のしかるべきポストを得る為の就職活動でもありました。 安定したポストを得ることができずに、安定したポストの代わりに250年後の私達がこよなく愛する名曲を大量に残しました。
モーツァルトの時代にレコードが発明されていたら、モーツァルトの生涯はどんな風に変わっていたのだろうかと考えてしまいます。
16才か17才で名声とお金を手に入れ、多くの女性に囲まれ最新型の8頭立て馬車なんかを乗り回して、身を持ちくずし健康を害して、やっぱり35才ぐらいで亡くなっていたかもしれません。 でもモーツァルト後期の作品を創っている暇がなかったから、多分(ケッヘルナンバー)「K300」代で終わっていたら、今のように評価されていないでしょう。